MENU CLOSE

COLUMN

コラム

CATEGORY

香り

あの時感じた香りのメカニズム

2024.07.29

あの時感じた香りのメカニズム

昨今、香りが身体に与える化学的作用が実証され始め、店舗・オフィス・医療現場など様々な場所で使用され、香りマーケティングという企業戦略も提唱されています。他社へ訪問した際にエントランスで感じる香り、ファッションブランドなどの店内へ入ったときに感じる香りがそれにあたります。この時の香りは、アロマによって演出されています。では、実際に香りが及ぼす効果はなんでしょうか?その点について詳しく見ていきましょう。

香りマーケティングとは

香りを活用した企業戦略を指し、香りマーケティング協会の定義として、「企業活動において香りを利用し活かすことによってマーケティング活動を実施し、新たな価値を創造する活動やプロセス」と定めています。多くのサービスがある昨今、視覚や聴覚に訴える方法では印象に残りにくくなってきています。そこで嗅覚に働きかけることで感情的に、記憶に残る形で差別化することが重要視されているのです。では、嗅覚を使いどのようにお客様へ働きかければよいのでしょうか。

香りと記憶は関係する?

東邦大学によると、「におい(smell・空気中を漂って嗅覚を刺激するもの)」の中で、好ましいにおいとされるものを「香り(fragrance/scent)」と定義しています。においは、人間が息をするたびに分子を吸い込むとされており、それを感じる嗅覚は、古来から生き物が生き延びるために重要な役割を担っています。そのため、五感の中で最も強く人間の生存に関わる大脳辺縁系※1に直接伝達されるのです。

(出典:東邦大学「匂いと脳のストレス反応」)

また海馬※2の非常に近い箇所にあるため、記憶や感情に強く結びつき、他の五感の100倍影響を与えやすいとされています。ある香りを嗅いだとき、過去の記憶や感情を思い出すことがあると思います。(プルースト現象)香水の香りである人を思い出して、この時こういう気持ちだったなぁと懐かしい気持ちに。このような経験が当てはまります。

ハーバード大学のドーン・ゴールドワーム氏※3は、嗅覚は胎児が子宮の中で唯一完全に発達した感覚であり、視覚が優位になる10歳頃まで子供の中で最も発達する感覚であると説明しています。そして「嗅覚と感情は一つの記憶として保存される」ため、幼少期は「生涯にわたって好きになる匂いや嫌いな匂いの基礎」を作る時期である傾向があると述べているのです。

香りとアロマ

香りと聞いて、アロマを思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。「アロマ(aroma)」は香りの一種で、芳香・かおりを意味します。そのアロマを使用した自然療法がアロマセラピー(アロマテラピー)となり、また、植物の香りを心身に役立てるという考えは古代から存在していました。

 

では、アロマセラピーを使用することでどのような効果が得られるのでしょうか。

  1. 健康:脳の視床下部※4に伝わり、心身のバランスを整え脳を活性化、感情をリセットしてくれる
  2. 業務効率:香りの効果により、集中力・記憶力向上、ストレス軽減が見込める
  3. イメージ定着:プルースト現象を利用したブランドイメージの定着・向上。Ambient Scenting※5が可能になる

 

例えば、オフィスのエントランスに柑橘系やオリジナルで制作したオイルの香りを取り入れてブランドイメージを定着・向上させたり、店舗では、顧客の購買意識を高める、ブランドイメージを感覚的に記憶へ定着させるという効果です。

 

また日本におけるアロマ市場は拡大傾向であり、「2021年アロマ市場に関する調査レポート」によると、2021年のアロマ市場規模は約3,973億円で精油(エッセンシャルオイル)を配合した製品等が3,513億円と推察されています。この数字は2018年の調査に比べ112%拡大しており、今後も香りを使ったマーケティングが広まる確率が高いとされています。

(出典:公益社団法人日本アロマ環境協会「2021年アロマ市場に関する調査レポート」)

まとめ

香りは、リラックス・健康・業務効率・イメージ定着といった様々な効果を持ち合わせています。特定の香りであの時の気持ち・感覚を思い出す場面があるかもしれません。自宅やオフィス、店舗で、香りが及ぼす効果を実践してみてはいかがでしょうか。同じ空間がより特別で魅力的な空間に変わるかもしれません。

 

このコラムを読んで香りを取り入れたいと思った時、ぜひ私たち“Birth”へお声かけください。店舗設計・デザイン・施工で培った長年の豊富な経験と実績をもとに、香りでより快適に過ごせるようになる最適な空間を提供致します。

注釈
※1人間の脳で食欲・意欲などの本能、喜怒哀楽・睡眠・夢などを司っており記憶や自律神経活動に関与する部分
※2記憶を司る部分
※3国際的に認められた嗅覚の専門家。12.29で香りを利用してブランドアイデンティティを定義・形成・伝達。
※4体温調節・飲食・睡眠など生体のリズムや情動行動を調整する役割をもつ。
※5アンビエント・センティング。世界実証済であり、顧客満足度の向上を目的に香りによる空間演出をすること。

 

参考文献
東邦大学.生物学の新知識.”匂いと脳のストレス反応”.https://www.toho-u.ac.jp/sci/bio/column/0824.html .(参照2024-07-10)
The Harvard Gazette.SCIENCE & TECH.”What the nose knows”
https://news.harvard.edu/gazette/story/2020/02/how-scent-emotion-and-memory-are-intertwined-and-exploited/ .
(参照2024-07-10)
株式会社アルテクス.コラム.”香りが与えるプロモーションの力とマーケティング影響力”.https://www.advance1997.co.jp/kaori/column/colum-141/ .(参照2024-07-09)
PRTIMES.公益社団法人日本アロマ環境協会.”2021年アロマ市場に関する調査レポート”.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000125.000005249.html .(参照2024-07-10)