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対話の再設計―「壁」から「窓」への変化がもたらす効果とは
2025.08.04
オフィスという空間は、実に不思議なものです。
ほんの少しの仕切りや配置の違いが、場の空気感を大きく変えてしまうことがあります。
たとえば、“壁”という存在。
集中して作業に取り組むためには必要な場合もありますが、 その高さや数が過度になると、自然な声かけがしづらくなり、 どこか閉ざされた印象の空間になってしまうこともあります。
そんなとき、私たちはふと思うのです。
「ここは閉じるのではなく、少し開いてみたらどうなるだろうか」と。
「壁」は空間だけでなく、対話にも境界をもたらしていた
あるオフィスでは、会議室のドアは重く、部署間の仕切りは高く設けられていました。
同じチームで働いているはずなのに、まるで“分断された場所”にいるかのような空気が漂っていたのです。
「声をかけるタイミングがわからない」
「誰が、今、何をしているのかが見えない」
その状況は、一見効率的な区切りのように思えても、 日常のささやかな会話や互いの気配を遠ざけてしまう、“静かな壁”でもありました。
「窓」を設けたことで、視線と気持ちが交差しはじめた
私たちは、厚い壁の一部を「窓」へと変えることを決断しました。
完全に開放するのではなく、すりガラスや室内窓のようなパネルを組み合わせることで、 空間を区分しつつ、まなざしや気配が穏やかに通り抜けるデザインへと仕立てました。
その変化は小さなものかもしれません。
しかし、「なんとなく安心する」「向こう側に人の気配があるだけで、心の距離が近くなったように感じる」――
そうした声が徐々に聞かれるようになり、声がかけやすくなったり、自然に目が合うようになったりと、 社内の空気がふんわりと、やわらかく変化していったのです。
まとめ:仕切ることと、隔てることは違う
オフィスに必要な“壁”とは、すべてを遮断するものではなく、
視線がほどよく抜け、気持ちが交差する“窓のような仕切り”なのかもしれません。
空間の設計は、対話の設計でもある――
私たちBirthは、そんな想いを大切にしながら、日々リノベーションに取り組んでいます。
次のリノベーションでは、“壁をつくる”のではなく、“窓をつくる”ことから始めてみませんか。
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